2015年12月19日土曜日

賢き選択。米国の教育制度の分岐点

米国の教育制度に関わる超党派の法案が10日、オバマ米大統領による署名を経て法律として成立。
これはテクノロジー業界にとって朗報。
コンピューターサイエンスが算数・数学や英語(国語)と同じくらい重要な科目として位置づけられた。
法律を踏まえて、コンピューターサイエンスを科目として教える学校が全米各地で増える可能性が出てきた。

初等および中等の教育制度を扱うこの新たな「Every Student Succeeds Act(児童生徒が全員成功する教育法)」が定める包括的な科目構成の定義にコンピューターサイエンスが含まれた。
州や地域の行政当局にしてみれば、他の科目と同様に連邦予算が振り分けられる対象になった。

労働市場では技術をもったプログラマーの需要が増えている一方、供給が追いついていないのが現状だ。
コード・ドット・オーグによると、全米でコンピューター関連の求人は60万件超ある。
だが、コンピューターサイエンスの学位を持って就職した人は昨年、わずか3万8175人だった。

2015年11月14日土曜日

―― ゆにばーすっ!第2章~ゆりかご~ ――






 風が強い。
 丸い月が空に輝いている。
 星と月の光で青く染まる闇の中に、ひとつの人影が見えた。
 オレンジ色のマフラーを首に巻いて、両手を背中辺りで組んだまま、どこか遠くを見ているその人は、マサキのよく知っている顔をしていた。

 「……白畑さん」

 月明かりが、その肌を陶器のように白く輝かせている。
 冷たい夜風がスカートの白を弄んでいる。
 黒いタイツとの対比が鮮やかで、その姿はマサキの知っている彼女とは明らかに別のものだった。
 形容するなら――マサキは遙の童話に出てきた告死天使を思い出す。その原因はおそらく、あの魂の抜けてしまったような、それでいて鋭利で冷たい瞳のせいなのかもしれない。

 「来てくれたんだ」

 マサキに視線を移さぬまま、彼女は言った。
 その声はどこか重く、喜びとも失望とも取れない音をしていた。
 「白畑さん。……どうして――」
 「――わたし、言いましたよね」
 虚空に視線を投げたまま、のぞみはまるで独り言のようにマサキの言葉を言葉で遮った。過去に体験したことの無い彼女のその強引さはマサキに青天の霹靂とも思える衝撃を与え――彼の二の句は封じられた。
 「2番でもいいって。2番でいいから、マサキさんの事、好きなままでもいいですかって――でも、駄目なんです。気がついたんです。あぁ、それじゃあ、わたし、だめだなぁって」
 やっぱりだめなんです――彼女はもう一度、自分に語り聞かせるように呟く。
 「白畑さん……僕は」
 「でもやっぱり、一番でいたい。私はマサキさんの一番でいたい!一番でいたい!……よぅ……」
 その声は半ば絶叫で、半ば涙声だった。

 ――………。

 どうしたらいいのかわからない。己が無能にマサキは自己嫌悪を覚える。それは悔しく腹立たしく、そしてどうにもやるせない、筆舌に尽くしがたい思いとなって心の中に積もっていく。
 やがて耐え切れなくなり、最も愚かな選択肢にマサキは無意識で指をかける。
 「白畑さん。僕は君の事」
 「やめて!」
 その時、今までで最も大きい声を彼女は発した。思わずピクッとマサキは体を小さく震わす。

 「慰めなんていいんです。もう、これしかない。わたしにはこれしか……」

 スッ、と彼女が両腕を天に翳す。袖が重力にしたがって落ち、そこに丸い金色のブレスレットを嵌めた細い手首が月明かりの元に露出した。
 ブレスレットは三つの管が編み込まれた様に絡み合っており、環を三等分した場所にそれぞれ輝く石が嵌め込まれている。そのブレスレットを見て、マサキの心臓は跳ね上がるように鼓動を速めた。予想していた最悪の事態、恐れていた最もあって欲しくない推測が、真実であると確定した瞬間であった。

 「やっぱりわたし、姉さんを倒さなきゃ。両親はわたしを養子に出してまで運命を食い止めたかったみたいだけど、無駄になっちゃいます」
 「そんなのやめましょうよ。よくないですよ!実の姉妹なのに!」

 その言葉に、のぞみは初めて振り返りマサキの顔を見た。そして、わずかに微笑み――

 「結局、マサキさんも姉さんの味方なんですね。やっぱりそっか。あ、わたし、さっきっから、やっぱりやっぱりって。あはは、もう、なんか、壊れちゃったのかな。マサキさんのせいですよ、これ。あぁ、もう……。姉さんをやる前に……責任、とってもらいますね?」

 のぞみのブレスレット――雷光環――の三石が、月明かりに逆らう様に輝き始めた。

2015年10月31日土曜日

――ゆにばーすっ!最終章~楽園~――





「どうして僕達が戦わなきゃならないっ!」


僕は精一杯の声でそう叫んだ。
けれども彼女は止まらない。その瞳にいっぱいの涙を溜めたまま……

――ゆにばーすっ!最終章~楽園~――



そして僕達は互いを求め合うように、滅びの預言をなぞり始めた。



 月を背にした現世の皇女は、目を閉じて呟く。

 「私達は、その為に――生まれたんだよ?」

 突如、空が落ちてきたかのような衝撃がマサキを襲った。
 範囲重力を任意で入れ替える超科学の力。その元凶たるネックレス型のデバイスが、彼女の胸元で明滅していた。

 ネックレスに収められているのは数千年を生きた仙人の身を封じた石のかけら。
 調停を司る者、救済を代行する者、審判に導く者。いくつもの呼び名を持つ評価型人工知能(イニシエのヒト)[原始天尊(リチャード・グレンヴィル)]が、彼女を介して辺り一面に加圧の呪いを展開したのだ。

 マサキの視界から光が薄れ、景色が歪む。その中で、彼女の体がゆっくりと宙に浮かぶ。重力の入れ替えにより発生した反重力場が、彼女に掛かる荷重を打ち消しているのだろう。
 華奢な体が宙(そら)に舞い、月を背負う。その姿に、マサキの持つ評価型人工知能(イニシエのヒト)が反応した。

 ――討テ! アレヲ討テ!――
 
 評価型人工知能(イニシエのヒト)がしきりに叫び、彼の精神に干渉し始める。

 ――討テ! アレヲ討テ!――

 評価型人工知能(イニシエのヒト)はマサキを煽る。
 普段であれば間違いなく気絶させられているだろう評価型人工知能(イニシエのヒト)の力の暴走。磁場PS粒子干渉による強制の呪いはマサキの神経を掻き毟り、対PS粒子デバイス【真核】が埋め込まれている彼の心臓を締め付けた。
 その干渉による衝動はかつて感じたどれよりも強烈で、伝わってくる殺意はマサキの自我をもすり潰してしまいそうな程であった。
 だが、皮肉にも評価型人工知能(イニシエのヒト)自体が持つ受動防衛機能、課せられた重力に対抗する為展開された【環境防衛干渉力場】は、マサキの意識を乗っ取ろうとする呪いの力さえも妨げた。

「ふぐぅぅ……ぅううううううぁあっ!」

 ――妨げたのだが、しかし課せられた暗示の効果に影響はない。マサキの持つ評価型人工知能(イニシエのヒト)の下した反射運動的強制命令は、マサキの制御できない能力【ソロモンの枝】の噴出を阻止するには至らなかった。

 その身に宿る血伝因子(ブラッドプロトコル)【罪過の渦】の働きで、心の中に純粋な殺意が満ちる。

 枝の切っ先が彼女を捕らえた。

 ――が

 「そうだとしても、それは―――!」

 マサキはそれを制御した。


 マサキは確かに見たのだ。彼は彼女がまぶたを閉じたその刹那、月明かりに反射してきらりと光るソレを見た。
 それが何だったかは言うまでもない。その光が、マサキの覚悟を強くした。自分には彼女の涙も宿命も、すべてを拭い去る義務がある。そして今ソレができるのも、自分を除いて他はない。

 あの首にかかっている呪器を――

 やるべきことは一つ。彼女との間合いを一気に詰め、首にかかっている呪器を外す。だが走ってそれを成すのは無謀だろう。展開した加重の呪いはずっしりとマサキの全身に圧し掛かっており、走るどころか歩く事すらままならない。

 ――イチかバチか……!

 「はああああああああ!!」

 腰を落とし身体を支え、彼は丹田に力を込める。
 今のマサキには力みを伴う【理念典礼】しかできないが、先ほどから騒いでいるこの強力な腕輪――評価型人工知能(イニシエのヒト)デバイス【夜魔の輪環】――の能力を発動させるスイッチとしてなら、それで十分だった。

 ワラワニ、委ネヨ……。

 忌むべき呪器【夜魔の輪環】がその封を段階的に解かれ、自由となった憑き物が漆黒の霧となってマサキにまとわりつき始める。
 マサキの内に、どす黒く、粘着質で、甘美で鈍重な感覚が染み込んでくる。
 それは頭に、胴に、指先に、爪先にと、あっという間に隅々まで広がった。

 「くあああああああ!!」

 叫ぶ事で意識を繋ぐ。マサキに内包されている限られたPS粒子が、得体の知れない闇に掻きだされていく。

 「どうして……そんなものを持ち出してきたの? 苦しむだけなのに」

 その叫びに反応しうっすらと目をあけた彼女が、マサキを見下ろし呟く。
 マサキの動きを黙認するつもりは無いと言いたげに、彼女は加圧を展開したままもう一組の呪器(デバイス)、マサキとは違う形状の輪環を、両手で両肘辺りから両手首まで引っ張り下ろした。

 それは極自然に、極あっさりと、マサキの強引なやり方とは比べようもない程極自然に力を灯す。
 細く白い両手首の間で、細かいアーク放電現象が起きた。その呪器(デバイス)は――マサキにも見覚えがある――遙が奪われた地上最強を謳う破壊の呪器(デバイス)【雷光環】。

 右手で左手首の輪を押さえ、左手で右手首の輪を押さえ、まるで天に祈りを捧げているかのような格好で、彼女は最後の一言を告げる為の息を吸う。

 そこで、マサキは、吼えた。
 
「ちっくしょおお!なんだってそう、意地っぱりなんだよおまえらあああああ!!!」

 刹那――雷鳴が、空いっぱいに轟いた。
 純白の閃光が走った後、何もかもをも炭化させる破壊の渦が地を這った。幾つもの枝を持った青白い稲妻が、時を感ずる暇も与えずマサキそのものを飲み下す。


 ――その場に、光があふれた――






2015年10月7日水曜日

記憶を形成する人工インプラント

障害のある脳が記憶を形成することを補助する世界初の人工インプラントが開発された。
これは脳内の記憶シグナルの操作に成功した世界で初めての事例。

脳が変性すると、最近の出来事から長期記憶が形成されなくなる。
脳に障害のある一部の人が、昔の出来事は思い出せるが、最近の出来事は思い出せないのはこの為。

脳が短期記憶を長期記憶に翻訳するうえで利用する電気シグナルを模倣したコンピューターアルゴリズム。
電極などを脳に直接移植することで使用する。

記憶を「読む」方法はまだ存在しない。
しかし、この電気的シグナル伝達装置を利用すれば、脳内の損傷部位や病変部位を迂回し、その電気シグナルから記憶の内容や意味を解読することができる。

ラットや猿を用いた実験は成功しており、現在は人間による実験が進められている。
これまでてんかん症状のある9名の慢性発作を治療するために、患者の脳に電極が移植された。

実験では、コンピューターの画面上に表示された様々な形の位置を思い出すなど、患者に単純な作業を行ってもらう。そして、その際の脳内の電気シグナルを読み取る。
この結果を基に、シグナルの翻訳を90%の精度で予測できるようになるまで、電気的アルゴリズムが調整される。
神経シグナルの予測ができるということは、脳の損傷部位の機能を補助あるいは代替する装置の開発が可能になるということ。
次のステップは、翻訳されたシングルを患者の脳内に送信すること。
問題のある部位を迂回できれば、正確な長期記憶が形成される。

本研究が目指すのは、負傷した兵士の記憶回復。
しかし、記憶が蓄えられている海馬の損傷部位を迂回するなど、アルツハイマー病のような神経変性疾患の治療としても利用することができる。
尚、世界ではすでに、麻痺のある人の脳に移植した装置を使って、ロボットアームや自分自身の手足で簡単な動作を行う実験に成功している。

2015年9月30日水曜日

胃がんはほぼピロリ菌。除菌で防げる。

 近年の予防医学によって、ピロリ菌を除去すれば胃がんはほぼ防げるということが分かってきている。
 胃炎や胃潰瘍、胃MALT(マルト)リンパ腫という悪性リンパ腫の予防にも効果があるという。
2013年にピロリ菌除菌の保険適用も対象が拡大。がん検査の費用も劇的に下がりつつあり、血液検査などで体への負担も軽減されている。

 アルコールが原因と言われてきた肝臓がんも、今は主に血液感染による肝炎ウイルスが原因で、定期検診による早期発見が重要。
 予防治療の必要性は胃がんに留まらない。
 例えば歯周病は、定期的に歯医者に通っていればほぼ防げるものだが、実践できず高齢で歯がない人は多い。
 他にも、がん保険には入ってもがん検診は受けないなど、予防の意識が低い世間の行動はたくさん見受けられる。

 高齢化社会で医療費負担が大きくなるが、ピロリ菌をはじめ医学の発展によって予防できる病も増えてきた。しっかりと最新の医療知識にアンテナを張り、自分や家族のカラダを守る必要があるだろう。

 進行度などにもよると思うがCTやMRI、超音波エコーによる画像診断なども早期発見に役立つ。まだ高価だが、その価格を大幅に低減させる取り組みをしたい。

2015年5月27日水曜日

眼内に挿入して視力3.0になるOcumetics Bionic Lensレンズ発表。

視力を矯正し、3.0にまで高められる「眼内レンズ」が発表された。
数分の無痛手術で済み、その効果は生涯継続。
効果は一生継続、入院の必要もない。

瞳のレンズ部分を取り外し、代わりに生体工学レンズを移植することで、視力が一気に回復。
100歳になっても視力1.0を維持できる。
動物実験で良好な結果が得られ臨床試験も計画どおりに進めば、2017年にはカナダ国内での認可を取得できる見通し。


ウェブ画面がモニタいらずの裸眼のみで見られる時代も近いですね。

2015年4月27日月曜日

インダストリー4.0 paradigm shift

「第4次の産業革命」と呼ばれる製造業の革新。
インターネットを介して工場内外の物やサービスがつながり、今までにない価値を生み出したり、新しいビジネスモデルを構築したりする。

労働コスト。
社会保障制度が手厚い。年間労働時間が短い。
ドイツを100としたとき、日本が90、米国が80強。


第1次産業革命
 18世紀にイギリスで起き、綿織物工業の機械化
第2次産業革命
 20世紀初頭の電気による大量生産
第3次産業革命
 1980年代以降のコンピューターによる自動化を進めた。

第4次産業革命
自動化された工場が業種を越えてネットワーク化していくこと。

・センサーや自ら考えるソフトウエア
・機械や部品の情報蓄積能力
・相互コミュニケーション能力

Sensor(センサー)
Software(ソフトウエア)
Solution service(ソリューションサービス)




2015年4月17日金曜日

PC上のデータが散乱しだしたら

データはフォルダに大分類し定位置に置く

「置く」   一時置きフォルダ 
「吊るす」  今月中に処理するフォルダ
「放り込む」 バックアップフォルダ
「よく使う」  一日一回はアクセスするデータ
「注目」   作業用フォルダ

SMARTの法則
Specific ― テーマは具体的か?

Measurable ― 定量的に測定できるか?

Achievable ― 達成可能なものか?

Result-based ― 「成果」に基づいているか?

Time-oriented ― 期限は意識されているか?



2015年4月4日土曜日

内科医による手術の増加と展望

2012年4月、ロボット支援下内視鏡手術(以下、ロボット手術)が保険適用となった。
対象疾患は前立腺がん。
手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」の母国である米国では、すでに前立腺がん全摘術の8割以上がロボット支援下で行われている。

ロボット手術の利点は、執刀医の手指の動きを正確になぞるロボットアームと、患部を見渡す2つのカメラにある。
一般の内視鏡手術では1つのカメラによる平面の画像で、画面は鏡像(左右逆)になる。
ロボット手術では、人間の視覚と同じ正対での3D画像。最大15倍にズームアップすることもできる。

人間の手首以上の稼働域があるアームは、臓器の裏側や狭い隙間にも自在に入り込み、執刀医の動きを3分の1に縮小する機能で微細な毛細血管の縫合にも威力を発揮する「マニピュレーター」。

12年の適用は前立腺がんのみだったが、日本でロボット手術への適用が切望されているのは胃がんなど消化管のがん。
しかし、胃がんは全世界の患者の3分の2が日本、韓国、中国の東アジア圏に集中している。
「ダ・ヴィンチ」は2014年9月現在、全世界で3174台を販売しているが、このうち2185台が米国、516台が欧州。
装置が2億円超と高額なこともあり、国内での導入はまだ約188台にすぎず、胃がんの症例データが少ない現状。

保険適用となれば、開腹手術ならば約1カ月だった入院期間は、1週間程度に短縮される。

産業用ロボットでは世界一の日本だが、医療用ロボット開発では米国に後れをとってきた。

そのかわり、日本の手術用ロボットは小型化を志向した。
米国製の手術支援ロボットは小柄な日本人にはフィットしにくい面もある。
また小型ロボットは「小児用」に転用可能であり、世界的な市場も大きい。

その最右翼は内視鏡で実績があるオリンパスと東京大学の佐久間一郎教授らが共同で開発中の「小型マニピュレーター」。
15年からは「ダ・ヴィンチ」の特許切れが始まったことから、手術支援ロボット開発競争は激化しそうだ。

一昔前まで全世界の外科医の黄金律は「Big Surgeon Big Incision――偉大な外科医は大きく切る」だった。
しかし現在は、ロボット手術に象徴されるように低侵襲術、つまりできるだけ体の表面を傷つけず、術後の合併症を最小限に抑える術式が主流となっている。

その低侵襲の最たる術式がある。通称「NOTES」。
英語名を直訳すると「自然開口部経管腔的内視鏡手術」。
口や肛門、膣など人体の「穴」を経由して特殊な内視鏡を差し入れて手術をする方法だ。

NOTESの欠点は、不潔な消化管経由で内視鏡を入れるため感染症のリスクが高くなること、それに他臓器にアプローチする際、胃や食道の壁の切開と縫合が必要になる点。
手術時間も通常の腹腔鏡手術より長い。

一方、最大の利点は体表面に一つも傷ができないという点。
手術跡が残らない術式が確立できれば、手術への心理的なハードルが下がるほか、がん患者の生活の質の向上が期待できる。

世界初のNOTES症例は05年にインドで行われた虫垂炎の手術。
その後、米国での胆のう摘出や、消化管に隣接するリンパ節の切除など症例報告が相次いでいる。
すでに全世界で3500例以上が実施され、一般的な腹腔鏡手術との比較試験も行われている。

日本では、初めてNOTESを臨床応用した大分大学医学部の北野正剛教授を代表世話人にとする「NOTES研究会」が07年に設立されている。
日本独自のNOTESを発展させるべく、安全な手技や柔軟性の高い内視鏡などの専用機器の開発を急いでいる。

ただ現状ではデバイスの限界があり、腹腔鏡手術を併用したハイブリッド型の普及が先行すると思われる。
また、がん治療の適用には、安全性や治療成績の検討が必要になる。

かつて、心筋梗塞の治療は心臓外科医による「開胸手術」が一般的だった。
しかし、現在は内科医によるカテーテルでの血管内治療が主流だ。
がんの局所治療でも内科医が活躍するようになる日は近い。

2015年3月29日日曜日

腎臓がんの発生や増殖の仕組み

がんは多数の遺伝子に異常が起きて発生し、進行する。
腎臓がんでは、FLCNというがん抑制遺伝子が2002年に見つかった。
研究グループは2006年と2008年に、FLCNに結合するFNIP1とFNIP2という2つの新規遺伝子を発見した。
しかし、FNIP1やFNIP2の腎臓での役割は不明で、FLCNのがん抑制機能に関わっているかどうかもわかっていなかった。
研究グループはこれまでに、FLCNとFNIP1が筋肉や心臓では協調的に働いていることを確かめていた。
しかし、FNIP1を腎臓から取り除いても、筋肉や心臓と違い、腎臓には何も起きなかった。
その理由が疑問だった。
腎臓では「FNIP1によく似た遺伝子のFNIP2が重要な役割を果たしているのではないか」と考え、FNIP2をマウスから取り除いてみたが、この場合も、腎臓だけでなく、全身の臓器で何も異常なことは見られなかった。
マウスのいろいろな臓器でFNIP1とFNIP2の発現量を比べてみた。
筋肉と心臓ではFNIP1が圧倒的に多い一方、腎臓ではFNIP2の発現量がFNIP1と同じレベルであることがわかった。
この腎臓でのFNIP2の発現が、FNIP1を取り除いたマウスの腎臓に何も起こらなかった原因とみて、マウスの腎臓でFNIP1とFNIP2を同時に取り除いたところ、腎臓細胞が異常増殖を起こし、最終的に重量が10倍以上にもなった。
さらに、FNIP1とFNIP2を同時に取り除いたマウスを長期的に観察していると、生後2年で、FLCNを取り除いたマウスと同じように腎臓がんが形成され、FNIP1とFNIP2がFLCNと協調して腎臓がんの発生を抑制していることを突き止めた。
FLCN、FNIP1、FNIP2という遺伝子が作るタンパク質は互いが結合して複合体を形成する。
研究グループは「この複合体ができなくなった時、腎臓細胞は異常増殖を始め、最終的にがん化する」と結論づけた。
今回の結果を進化生物学の観点から検討した。
ハエなどでもともと1つだったFNIPが、ヒトのような高等動物に進化する過程で、腎臓細胞の異常増殖を確実に予防するために、FNIP1とFNIP2という2つのFNIPに分かれていったというシナリオが浮かび上がった。

スマホゲームの寡占化

ソフトバンク傘下で、スマートフォン向けゲームを手掛けるスーパーセル(フィンランド)が発表した2014年決算は、利払い・税・償却前利益(EBITDA)は5億1500万ユーロ(5億6400万ドル)
売上高は15億4500万ユーロに増えた。
収益性の高い「クラッシュ・オブ・クラン」、「ヘイ・デイ」などのヒット作品が寄与した。

ソフトバンクは2013年、スーパーセルの株式51%を約15億ドルで取得。
売上高前年は5億1900万ユーロ。利払い・税・償却前利益(EBITDA)は2億4300万ユーロ

2015年2月7日土曜日

スペースプレーン実験機Intermediate Experimental Vehicle、打ち上げ準備

欧州宇宙機関(ESA)のスペースプレーン実験機IXVの打ち上げに向けた準備が、着々と進められている。IXVはすでにヴェガ・ロケットの頭の部分に搭載されており、2月11日に宇宙へ向けて飛び立つ予定。

IXVはESAが開発したスペースプレーンの実験機。将来の再使用宇宙機の開発に向けた実験を行うことを目的としている。
スペースシャトルのような大きな翼は持っていない。機体の全長は5.0m、全高は1.5m、全幅は2.2mで、打ち上げ時の質量は2t。

打ち上げには、アリアンスペース社が運用する小型の固体ロケットであるヴェガが用いられる。
地球を回る軌道には乗らず、サブ・オービタル飛行、弾道飛行と呼ばれる飛行経路をとる。そしてパラシュートで太平洋上に着水し、船で回収され、その後分析などが行われる。
打ち上げから着水までは1時間40分ほどの予定。

打ち上げ日時は現地時間2015年2月11日10時00分(日本時間2015年2月11日22時00分)の予定。

2015年1月29日木曜日

頭髪補完計画

米サンフォード・バーナム医学研究所が、ヒトの多能性幹細胞を使って新しい毛髪を生やすことに成功した。
今回の研究では、マウスにヒトの多能性幹細胞を移植し、皮膚乳頭細胞に分化させて人毛を生やすことができたという。
これにより、失われた頭髪を文字どおり再生できる可能性がある。

髪は長い友達。
悲しい別れの後には、懐かしい再会が待っているのかもしれない。

2015年1月27日火曜日

ファンドレイジング

日本には「認定非営利活動法人」「公益社団法人」「自治体」などに寄付をすると、寄付金の一定割合が税額控除の対象となる制度がある。
その中でも「ふるさと納税」は通常の「認定NPOへの寄付」より、税制控除の比率が高い。

例えば20,000円の寄付をした場合、18,000円の税金が所得税&住民税から減税される(要確定申告)。
自治体によっては一定額以上の寄付をすると、記念品など「お礼」がある。

上限内という記述を用いたが、これも例えば「儲かりすぎてしまって寄付枠が足りない」といった場合、NPOにも寄付するという方法がある。
「認定NPO」や「公益社団法人」に対する寄付も、税制控除の対象になる。
認定NPOへの寄付は概ね半額弱が返ってくる計算。
(NPOへの寄付は「認定」を取得している団体のみ)

利益が出すぎてしまって困った(チラッ
という経験は私は皆無だが、東日本大震災関連に寄付を重ねた結果税金がかなり減額され、寄付に少しだけ明るく、また前向きになった。
寄付に限った事ではないが、情けは人の為ならず、なのだ。

2015年1月21日水曜日

ふるさと納税

ふるさと納税は平成21年度納付分(つまり平成20年1月~12月の所得)からスタートした「(2008年4月30日に公布された)寄付金税制。
毎年度(1月~12月)単位の寄付が対象。
個人住民税の寄附金税制が大幅に拡充される形で導入された。

寄付自体はいくらでもでき、上限・下限はない。
原則、自己負担は2,000円「ふるさと納税制度」を使うと、少なくとも2,000円は戻って来ず、自己負担となる。
住民税の1割程度の寄付であれば控除(返戻)率が高い住民税の1割程度までは、確定申告をあわせて行うことで、2,000円を差し引いた金額が控除される。
住民税の1割超についても一部控除を受けられる住民税(所得割)の1割程度を超えた分については、住民税としては寄付金控除として総所得金額等の30%まで、所得税としては40%まで、控除を受けられる。


簡単な流れ
1.広報や新聞、自治体のホームページ、さらにはこのふるさと納税応援サイト「ふたくす」などから、寄付を求める自治体や事業の情報を集め、寄付したい自治体や事業を選ぶ。
2.直接窓口に行き納める。
(銀行振り込み等については、直接、寄付希望先の自治体に確認する必要がある)
→証明書をもらい保管。(住民税等の税額控除を受ける為に必要)

源泉徴収されるサラリーマンなどは、一旦支払った所得税の還付を受けるために、確定申告が必要。
自営業は、確定申告により、税額控除した分の納税。
住民税については、確定申告を行う方は手続き不要。
確定申告を行わない方は、寄附をした旨の証明書をお住まいの自治体に届けて住民税の申告を行うことにより、本来支払うべき住民税が税額控除されて通知されるので、その額を翌年6月から翌々年5月まで納付することになる。


蛇足
サラリーマンなどっていうのは、ピンとこないかもしれないかな。
たとえば私、昔預かりの声優なるものをやってたけどギャラから所得税10%強制天引きされるのです。自営業なんだけど天引かれるそういう人たち。





2015年1月15日木曜日

変化に対応し盲点を埋める作業①――セキュリティ

ベネッセコーポレーションによる個人情報漏洩事件。
容疑者は大量のデータを貸与PCから私物のスマートフォンにコピーし持ち出していた。
貸与PCはUSBメモリーへのデータ書き込みを禁止する設定だったとされるが、なぜ容疑者はスマートフォンにデータを書き込めたのか。


有力な可能性として考えられるのは、USBマスストレージの使用は制限できていた一方、デジタルカメラや携帯音楽プレーヤ、スマートフォンに特有のファイル転送方式「MTP(Media Transfer Protocol)」の使用を制限できていなかった可能性だ。

一般的なUSBメモリーは、Windowsのデバイスクラスでは「USBマスストレージ」として認識され、ドライブ名が割り当てられる。
一方でスマートフォンでは、USBマスストレージの他、ドライブ名が割り当てられないWPD(Windows Portable Devices)クラスとして認識される事がある。

USBマスストレージではPCがファイル制御を担うのに対し、WPDではファイル転送方式としてPTP(Picture Transfer Protocol)やMTPを使い、デバイス側がファイルを制御する。
これにより、例えばファイル書き込み中にデバイスを引き抜く、PCとデバイスでファイルを同時に書き換えるなどしても、ファイルが破損しにくくなる。PTPは画像ファイルの転送に対応し、PTPの拡張規格であるMTPはそれ以外のファイルの転送にも対応する。

このMTPの存在は、情報漏洩対策の盲点になり得る。
デバイス制御ソフトやActive Directoryのグループポリシーの設定でUSBマスストレージの使用を制限しても、MTPあるいはWPDデバイスの使用制限を忘れると、スマートフォン経由で簡単にPCからデータを持ち出せてしまう。(例えばAndroid端末の場合、機能としては2011年9月に公開されたバージョン3.1、本格的には2011年10月公開のバージョン4.0から、MTPによるファイル転送に対応している)

この“穴”は2013年ごろからセキュリティ技術者の間で話題になっていた。
「Android4.0の登場まではMTP対応端末が少なく、現実的な脅威ではなかった。他企業のIT部門でも、USBメモリーは制御しても、MTPの設定まで思い至らない例は多い。


商用のデバイス制御ソフトでは一般に、USBマスストレージの使用制限に加え、WPDデバイスの使用を制限する事でスマートフォンへのデータ転送を制限できる。ただし、WPD制限機能に対応を開始したのは、2009年~2013年とソフトによってまちまち。デバイス制御ソフトを採用しているIT部門はまず、採用ソフトのバージョンが、WPDの使用制限機能に対応しているかを確認した方がいい。
(デバイス制御ソフトを使わなくとも、Active Directoryのグループポリシーを設定することで、WPDデバイスのアクセス制限を行うことは可能。ただし「Windows XPやWindows Server 2003は、Active Directoryによるデバイス制御機能が貧弱なため、デバイス制御に頼るのは避けた方が無難)

2015年1月6日火曜日

LINEタクシー始まる。

LINEは、タクシー大手の日本交通と提携し、1月6日に東京限定でタクシー配車サービス「LINE TAXI」を開始した。

利用するにはLINE Payでのクレジットカード情報の登録が必須。
LINE TAXIは、LINEアプリ上からGPS情報もしくは手入力で乗車位置を指定すればタクシーを呼び出せる。配車までの待ち時間はLINE TAXIの地図上に表示される。

支払いはLINEの決済サービス「LINE Pay」で事前に登録したクレジットカードで自動精算されるため、降車時現金の決済は不要。

日本交通が手がける都内3340台のタクシーが配車対象。まずは東京23区内、三鷹市、武蔵野市でスタートし、近日中に全国展開する予定。全国展開時には、全国タクシー配車アプリを採用する全国約2万3000台のタクシーを呼び出せるようになる。

2015年1月5日月曜日

九大、既存薬でがん転移抑制研究

九州大学生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授らの研究チームは、肝炎治療薬としてヒトに使用されている薬物(既存薬)「プロパゲルマニウム」(CCL2阻害剤)によって、がん転移を強力に抑制させることに成功したと発表。
米国科学雑誌「Journal of Clinical Investigation」で公開。

がん細胞の周囲には「がんニッチ」と呼ばれる細胞群が存在し、がん細胞の増殖や転移を積極的に手助けしていることが知られている。
特に血液由来の「線維芽細胞」や「単球細胞」は、がんニッチの構成因子として重要。

がん治療においては、がん細胞だけでなく、このがんニッチも同時に消滅させる必要がある。
しかしこれまで、どのようなメカニズムでがんニッチが形成されるかについてはあまりわかっていなかった。

今回、研究チームが注目したのは「Fbxw7」と「CCL2」と呼ばれる二つのタンパク質。
まず、乳がん患者の血液細胞を調べ、Fbxw7の発現量が低い人は、がんの転移や再発がしやすくなることを発見。
次に、Fbxw7が低くなると、CCL2が過剰に分泌され、それががん細胞の周りに単球細胞を異常に呼び寄せて、がんニッチを作り上げていたことを研究チームが発見。
そこで、このCCL2の働きを阻害するために、マウスにCCL2阻害剤である「プロパゲルマニウム」を投与すると、単球細胞の集積がみられなくなり、転移先でのがん細胞の増殖が抑えられたという。

プロパゲルマニウムは既に肝炎治療薬としてヒトに使用されている薬物(既存薬)。
研究チームは今後、早い時期にプロパゲルマニウムの臨床治験を進めていく予定。

2015年1月3日土曜日

しんねんのごあいさつ

あけましておめでとうございます。

PCのちょうしがわるく、かんじのへんかんができなくなってしまいましたが

ほんねんもよろしくおねがいいたします。