2015年10月7日水曜日

記憶を形成する人工インプラント

障害のある脳が記憶を形成することを補助する世界初の人工インプラントが開発された。
これは脳内の記憶シグナルの操作に成功した世界で初めての事例。

脳が変性すると、最近の出来事から長期記憶が形成されなくなる。
脳に障害のある一部の人が、昔の出来事は思い出せるが、最近の出来事は思い出せないのはこの為。

脳が短期記憶を長期記憶に翻訳するうえで利用する電気シグナルを模倣したコンピューターアルゴリズム。
電極などを脳に直接移植することで使用する。

記憶を「読む」方法はまだ存在しない。
しかし、この電気的シグナル伝達装置を利用すれば、脳内の損傷部位や病変部位を迂回し、その電気シグナルから記憶の内容や意味を解読することができる。

ラットや猿を用いた実験は成功しており、現在は人間による実験が進められている。
これまでてんかん症状のある9名の慢性発作を治療するために、患者の脳に電極が移植された。

実験では、コンピューターの画面上に表示された様々な形の位置を思い出すなど、患者に単純な作業を行ってもらう。そして、その際の脳内の電気シグナルを読み取る。
この結果を基に、シグナルの翻訳を90%の精度で予測できるようになるまで、電気的アルゴリズムが調整される。
神経シグナルの予測ができるということは、脳の損傷部位の機能を補助あるいは代替する装置の開発が可能になるということ。
次のステップは、翻訳されたシングルを患者の脳内に送信すること。
問題のある部位を迂回できれば、正確な長期記憶が形成される。

本研究が目指すのは、負傷した兵士の記憶回復。
しかし、記憶が蓄えられている海馬の損傷部位を迂回するなど、アルツハイマー病のような神経変性疾患の治療としても利用することができる。
尚、世界ではすでに、麻痺のある人の脳に移植した装置を使って、ロボットアームや自分自身の手足で簡単な動作を行う実験に成功している。

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